国際単位系 SI


|| 人間が扱いやすい単位の基礎

名前は厳ついのであれですけど、

これは「基本的な 7 つの単位」の総称です。

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目次

 

知っておくべきこと

 

国際単位系「基礎的な単位」

物理量「あるいは単に量と言われるもの」

 

誰でも知ってる単位

 

   メートル「成人男性の腰の高さくらいの長さ」

   「秒刻みの時計を見れば分かる」

   グラム「1円硬貨が 1\mathrm{g} /水 1\mathrm{L}1\mathrm{kg} くらい」

   ケルビン「温度を表す単位 約 0℃273\mathrm{K}

 

エネルギーに関する単位

 

   ニュートン1\mathrm{N} は、1\mathrm{kg} のものに 1\mathrm{m}/\mathrm{s}^2 を与える」

   ジュール1\mathrm{J} は、1\mathrm{N}1\mathrm{m} 動かすのに必要な力」

 

 

 

 

 


国際単位系 SI

 

|| あらゆる単位の基礎になる単位

全部で「 7 つ」ある必要最低限の単位の総称がこれ。

 

 

誰でも知ってるものが「 4 つ」で、

あまり知られてないのが「 3 つ」あります。

 

 

誰でも知ってるやつは、

\mathrm{s} (秒)」「 \mathrm{m} 」「 \mathrm{kg} 」「 \mathrm{K} (約 -273℃ )」

以上の4つですね。よく見ると思います。

 

 

 

他のやつはあまり知られてないやつなんですけど、

これの内、 2 つは見覚えがあるはずです。

 

 

アボガドロ定数 \mathrm{N_A} を単位に原子数を定めた「 \mathrm{mol}

電流の単位となる「 \mathrm{A} (アンペア)」

 

 

この2つなんですけど、

「原子の量」とか「電気」とか

こういうのの話で目にした覚えがあるかと。

 

 

 

で最後、残る1つなんですけど、

これは見覚えのある人は少ないと思います。

 

 

というのも、

\mathrm{cd} (カンデラ)」ってやつなんですけど、

これの意味、分かりますか?

 

 

人が感じる明るさ』

というのを意味している単位なんですけど、

 

 

まあ触れる機会が超少ないので、

分かるわけないですよね。

 

 

ちなみに「ろうそく1本分の明るさ」が

1\mathrm{cd} 」が表す明るさです。

 

 

 

 

 

まとめると、

\mathrm{SI}4+2+1 個の単位ってのは↓になります。

 

\begin{array}{cccccccc} \displaystyle \mathrm{s}&&\mathrm{m}&&\mathrm{kg}&&\mathrm{K} \\ \\ \mathrm{mol}&&\mathrm{A} \\ \\ \mathrm{cd} \end{array}

 

覚えるべきは実質3つなので、

特に疑問も無く覚えられると思います。

 

 

 

※注意

「カンデラ」が表す量は

天文学の「光度」とは別です。

 

 

 

 

 


物理量

 

|| 単位とかがはっきりしてる量のこと

「量」って言えるやつはだいたいこれ。

 

 

そこそこ見る割に意味がちょっと曖昧な単語です。

なので少し厳密に、軽く解説しておきます。

 

 

 

まず具体例から話しておくと、

\mathrm{m} (長さ)」「 1\mathrm{kg} (重さ)」

2\mathrm{m}/\mathrm{s} (速度)」などなど、

 

 

こういうのを「物理量」

あるいは単に「量」って言うんですよ。

 

 

 

範囲が広い抽象的な単語なので、

「力」のことを物理量と言うこともあれば、

「力の大きさ」を物理量と呼ぶこともあって、

 

 

例えば「 \mathrm{m} 」も「 1\mathrm{m} 」も、

どちらも物理量と呼ぶことがあります。

 

 

ただ、この辺りはちょっとややこしくて、

 

 

というのも、「 1\mathrm{m} 」の場合とかで、

この「長さ(物理量の 1 つ)」の「 1 」に対しては、

 

 

「物理量の大きさ」

なんて言い回しが使われることがあるんです。

 

 

 

まあつまりこの場合だと

\mathrm{m} 」は「物理量」と呼べますが、

 

 

その「大きさ 1 」は物理量じゃない

みたいな感じになります。

 

 

ただこの辺り、どうも筆者の匙加減になりがちで、

区別されないこともわりと多く、

「大きさ」も物理量と言うことがありますね。

 

 

 

まあ要は「物理量」という言葉の意味は、

『文脈』によって判断しなければならないわけで、

 

 

だいたい「なんらかの量」を指して使われますが、

 

 

「量それ自体」か「量の中身と全体」か

この辺りは文脈で判断するしかありません。

 

 

ややこしいですが、

まあ『国際単位系で表されてる比較できるもの』と、

こう覚えておけば、だいたい大丈夫だと思われます。

 

 

 

 

 


誰でも知ってる単位

 

|| 常識っぽいようで詳細はあまり知られてない

ここでは「秒・長さ・重さ・温度」について、

より詳しく厳密な話をしていきます。

 

 

とはいえまあ、これ、皆さん知ってますよね。

「秒」「長さ」「温度」とかは日常で見ますし、

なんとなーく感覚で分かると思います。

 

 

ただ、なんとなく分かるとは思うんですけど、

 

 

「厳密に」どう定められているのか。

なにが基準になっているのか。

 

 

この辺りはよく分からないと思います。

 

 

 

現代では、それでも特に問題は無いでしょう。

だいたい分かればそれで十分です。

気にする必要もありません。

 

 

ただ、例えば「正確な値が知りたい」時、

「できるだけ誤差を無くしたい」時、

「なんとなく」じゃ困りますよね?

 

 

 

それこそ、

例えば厳密な測定ができないとなると、

 

 

1\mathrm{s}≒1.2\mathrm{s} とか

1\mathrm{m} ≒1.1\mathrm{m} とか

40 万円 41 万円とか

 

 

こういう雑な近似が平気で起きるわけで、

時に均等な分配なんかができなくなったりします。

 

 

 

とまあそういうわけですから、

厳密な定義は必要なんですよ。

 

 

 

 

 


長さ・メートル \mathrm{meter}\mathrm{m}

 

こいつは『光の速度』で厳密に定義されてます。

由来は相対性理論の『光速度不変の原理』です。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle c&=299\,792\,458\mathrm{m}/\mathrm{s} \\ \\ 1\mathrm{m}&\displaystyle =\frac{c}{299\,792\,458}1\mathrm{s} \end{array}

 

m の由来は古代ギリシャ語の

「ものさし」を意味する \mathrm{μέτρον} (メトロン)

 

 

c が真空中の光速度』で、

299\,792\,458\mathrm{m}/\mathrm{s} 」の値が不変になります。

 

 

ちなみに「光速度 c の由来」は、

ラテン語の「速度」を意味する単語「 \mathrm{celeritas} 」です。

 

\begin{array}{rlc} 1\mathrm{m}&\displaystyle =\frac{c}{299\,792\,458}1\mathrm{s} \end{array}

 

はい。とまあそんな感じで、

この光速度不変の原理を元にして、

長さ 1\mathrm{m} は定義されています。

 

 

 

とりあえずこれは、

まずだいたい「秒速 30\mathrm{km} だ」と覚えましょう。

 

 

速すぎて実感できませんが、

「地球を 1\mathrm{s}7 周半」とか、

「月まで 1.3\mathrm{s} 未満」とか、

 

 

こういう基準があるので、

ぼやっと覚えておけば、

とりあえずとんでもなく速いことが実感できると思います。

 

 

 

んで見ての通り、

これは『秒』の定義に依存していて、

順番的には『秒』→『長さ』で定義されています。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle 1\mathrm{m}=\frac{c}{299\,792\,458}1\mathrm{s} \end{array}

 

具体的には、

例えば「 1・10^{-6}\mathrm{s} で光が移動した距離」を記録して、

それをだいたい「 300\mathrm{m} 」とする、という感じで。

 

 

 

 

 


時間・秒 \mathrm{second}\mathrm{s}

 

これは『セシウム 133 で作れる周波数』という

よく分からんやつで定義されています。

 

 

もともとは「地球の自転(1日)」から定義されていて、

その後に「公転(1年)」から定義されていたんですが、

 

 

まあこれじゃ『正確に』となると微妙なので、

現在では、この「原子の周波数」が採用されてる感じです。

 

 

 

周波数っていうのは、

要は『マイクロ波の周波数』なんですが、

 

 

この辺り、だいぶ込み入っているので

簡単にはちょっと説明し辛いですね。

 

 

 

まあざっくり説明するなら、

要は「ある周波数 Δν_{\mathrm{Cs}}\,\,\mathrm{Hz} 」を作ることができて、

 

 

それが『秒間に Δν_{\mathrm{Cs}} 回の振動をしているとする』

というような感じで、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle Δν_{\mathrm{Cs}}×1s =9\,192\,631\,770\mathrm{回} \end{array}

 

この「 Δν_{\mathrm{Cs}} 」の具体的な数値を

9\,192\,631\,770 」ということにして

単位「秒」を定義している、と。

 

 

まあざっくりとはそんな感じです。

 

 

光速度もまたそうですが、

この「 9\,192\,631\,770 」ってのが、

人間にとって良い感じになる値になります。

 

 

これは「原子に合う特定の波の大きさ」が『一定』で、

『ほとんどブレない』から基準とされていて、

 

 

『人間の体感的な 1 秒に近い形』を求める際、

この周波数はこんな感じの値になるんですね。

 

 

 

 

 

周波数の計測

 

ちょっと専門的な話になりますが、

これは「原子の性質」を使って求められます。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle ν&\displaystyle =cR_{\infty}\left( \frac{1}{(m+a)^2}-\frac{1}{(n+b)^2} \right) &&(m≤n)\\ \\ E&=hν \\ \\ \\ R_{\infty}&=1.0973731568160(±21) ×10^7 \mathrm{m}^{-1} \\ \\ h&=6.62607015×10^{−34} \mathrm{J・s} \end{array}

(±21) は下2桁の誤差

 

使うのは「原子のスペクトル」と

「励起状態への変化」の2つです。

 

 

軽く説明しておくと、

要は「原子には色がある」って話がスペクトルの話で、

 

 

a,b は原子ごとの定数になります。

m,n は電子殻の番号です。

1 が基底状態(一番原子核に近い)

 

 

そして「励起状態」っていうのは、

「より活発な動きをする原子の状態」のこと。

 

 

数式的には n=1 より大きい状態で、

n≥2 で励起状態になります。

 

 

ちなみに可視光領域(バルマー系列)だと m=2 ですね。

この場合、基底状態 n=1 はとりません。

 

 

 

まあつまり、

「決まった周波数の電磁波を吸収する」ことと、

「状態が変わるのに必要なエネルギー」の話で、

 

 

その時に『出てくる電磁波の周波数』を使って、

1\mathrm{s} としたい振動回数」を求めてる感じ。

 

 

ちなみに「周波数」と「振動数」は同じものです。

使い分けの基準は正直よく分かりません。

なので、同じだということを覚えておきましょう。

 

 

 

 

 

電磁波の周波数

 

光子にしても電子にしても、

その正体は『特定の周波数を持つ電磁波』です。

 

 

逆を言えば、

『周波数を特定することができる』なら、

『それがなんなのか』特定できます。

 

 

セシウム133の周波数も同様で、

『セシウムに当てた電磁波』が

『セシウムを励起状態にした』のなら、

 

 

その「電磁波の周波数」は

『セシウムに合う周波数』だと特定できます。

 

 

特に『秒間での周波数を調整できる装置』があれば、

その『調整された周波数』を使って、

『セシウムに合う周波数』に合わせることができて、

 

 

それがまあ、要は『共鳴周波数』なんですね。

 

 

んで、秒間に「 9\,192\,631\,770 (約92憶)回の振動」

というのがセシウムに合う周波数なので、

結果的に、この値が「秒」を定義しました。

 

 

 

まとめると、

『とある振動数の電磁波を作れる』ことから、

その『振動数を使って「秒」を定義する』という流れです。

 

 

別の言い方をするなら、

まず「ある程度正確な 1 秒という枠」があって、

それを『セシウムの周波数でズラさない』感じ。

 

 

 

なぜセシウム 133 を使うかと言うと、

現状では、これが最も誤差が少ないから。

 

 

それ以上の意味はありません。

当然、他の原子でも作ることは可能です。

 

 

ちなみに、セシウムの場合の正確さは、

セシウムの原子時計は「 3000 万年に 1 秒」しかズレない程度です。

超すごいですね。

 

 

 

マイクロ波の生成方法や振動数の計測法については、

ここでは長くなり過ぎるので省略します。

 

 

興味がある方は『原子時計 作り方』

みたいな感じで調べてみてください。

 

 

 

 

 


重さ・グラム \mathrm{gram}\mathrm{g}

 

実感しやすいので、

基本は「 \mathrm{kg}(=1000\mathrm{g}) 」で表されます。

「水 1\mathrm{L} 」がだいたい「 1\mathrm{kg} 」です。

 

 

厳密な定義についてはわりと込み入っていまして、

先に順序だけ説明しておくと、

 

 

『秒』→『長さ』→(速度→エネルギー)→『重さ』

という順で定義されています。

 

 

説明が回りくどくなってしまうんですが、

これの厳密な定義は回りくどく説明しないと、

なんか、ちょっとよくわかりません。

 

 

というのも、これは『プランク定数 h 』で定義されていて、

 

\displaystyle 1\mathrm{kg}=\frac{h}{6.62607015・10^{-34}}・1\mathrm{s}・\frac{1}{(1\mathrm{m})^2}

 

とすると導出できます。

これが厳密な定義です。

 

 

しかしこれ、分かりやすいですか?

私はすごく分かり難いと思います。

 

 

 

 

 

プランク定数

 

そもそも「プランク定数」って?

って感じだと思うので、そこを説明していくと、

 

 

一言で言うなら、

これは『光子のエネルギーを定める定数』のことです。

 

 

って言われても、なんかよく分からんと思いますが、

まあそれは仕方なくて、

 

 

これを理解するには、

「エネルギー E は、振動数 ν に比例する」っていう、

E=hν 』という物理法則を知っておかないといけません。

 

 

詳しくは『光量子仮説』

「光電効果」「コンプトン効果」を知っておく必要があって、

この実験結果から、この物理法則は正しいとされています。

 

 

とまあ見ての通り、

これ、知らないと分かるはずがありません。

 

 

つまり分からないのは自然なことなので、

あまり身構えないようにしてください。

理解したいなら、ここは覚えるしかない部分です。

 

 

 

んでまあ、この「プランク定数」なんですが、

これは計測によって得られた値でして、

 

 

具体的には『 6.62607015・10^{-34}\,\mathrm{J・s}

という値で定義されています。

 

 

単位についてはただの結果論で、

だいたい「 6.6・10^{-34} 」と覚えておけばOK。

 

 

覚え方については、

66+34=100 」みたいに覚えておくと、

ちょっと覚えやすいですね。

 

 

 

で、このプランク定数なんですけど、

この値の根拠は「光子エネルギーを測った結果」なので、

それ以上の根拠は無いと思っておいてください。

 

 

計測法の詳細は省きますが、

繰り返すと、これは『実際に測った結果』です。

なぜこの値かというのは「そうだったから」としか言えません。

 

 

感覚的には、自分の身長が ~\mathrm{cm} なのは、

『測った結果そうだったから』ですよね?

つまりはまあ、そういう感じです。

 

 

質量に関してはこんな感じですね。

 

 

まとめると、

「光子エネルギーの測定値」から得ています。

 

 

 

んで、

『秒』『メートル』『プランク定数』という「定数」から、

この「重さ \mathrm{kg} 」は、必然的に導けちゃうわけです。

 

\begin{array}{lllll} \displaystyle E=hν&⇒&E_{\mathrm{scalar}}\,\mathrm{J} \\ \\ &&=h_{\mathrm{scalar}}\,\mathrm{J・s}・ν_{\mathrm{scalar}}\mathrm{s}^{-1} \\ \\ \\ & ⇒&E_{\mathrm{scalar}}\,\mathrm{kg}・\mathrm{m}^2/\mathrm{s}^2 \\ \\ && =h_{\mathrm{scalar}}\,\mathrm{J・s}・ν_{\mathrm{scalar}}\mathrm{s}^{-1}\end{array}

 

振動数 ν1 の場合を考えて、

エネルギー E が『計測された』とすると、

 

\displaystyle \mathrm{kg}=\frac{h}{E_{\mathrm{scalar}}}・\frac{s}{\mathrm{m}^2}

 

E を含めて全てが定数値なので、

\mathrm{kg} の値は一定になる、という感じに。

 

 

これが「重さ」導出のざっとした流れになります。

なんか厳ついですが、やってることはただの方程式の計算。

よく見ると、特に難しくはありません。

 

 

 

 

 


温度・ケルビン \mathrm{kelvin}\mathrm{K}

 

こいつは『絶対温度』とか言われてるやつの単位です。

0℃ 」が、だいたい「 -273\mathrm{K} 」になります。

これがたぶん一番実感しやすい \mathrm{K} の意味でしょう。

 

 

厳密な定義は \mathrm{kg} みたいな感じでして、

こいつの場合は『ボルツマン定数 k 』っていうのが使われてます。

 

 

具体的にはこんな↓ですね。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{1}{2}m\overline{v}^2&\displaystyle =\frac{3}{2}kT&&\displaystyle \left(∵k=\frac{R}{N_A}\right) \\ \\ \displaystyle T&\displaystyle =\frac{1}{3}\frac{1}{k}m\overline{v}^2 \end{array}

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \overline{v}^2&=v_x^2+v_y^2+v_z^2 \end{array}

 

ちょっとややこしいです。

 

 

 

これは『原子の運動量』を「温度」と解釈できることから、

統計的に導かれるものなんですが、

まあそれだけ言われてもって話ですよね。

 

 

 

というわけでざっと説明すると、

『秒』『長さ』『重さ』から、

運動法則・運動エネルギーが↓みたいに導けるので、

 

\displaystyle \frac{1}{2}mv^2

 

これを「温度」として、

「運動エネルギー」と「熱エネルギー」の等価性から、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle P&\displaystyle =\frac{Nm\overline{v}^2}{3V} \end{array}

 

『気体定数』『アボガドロ定数』が現れる関係式を得て、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle PV&=nRT \\ \\ \displaystyle \frac{Nm\overline{v}^2}{3V}V &=nRT \\ \\ \\ n&\displaystyle =\frac{N}{N_A} \\ \\ \\ N_A&=6.02×10^{23} \mathrm{mol}^{-1} \\ \\ R&=8.31 \, \mathrm{J}/\mathrm{mol}・\mathrm{K} \end{array}

 

結果的に「熱」が「速度」に比例することが分かって、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{1}{2}m\overline{v}^2&\displaystyle = \frac{3}{2}\frac{R}{N_A}T \end{array}

 

\displaystyle \frac{R}{N_A} =k

 

その『比例定数』が「ボルツマン定数」になる、という感じ。

 

 

 

 

 

ボルツマン定数

 

もうちょっとちゃんと説明すると、

↓のような関係式が、ボルツマン定数を導きます。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \displaystyle N\frac{1}{2}m\overline{v}^2&\displaystyle =\frac{3}{2}nRT \\ \\ \displaystyle \frac{1}{2}m\overline{v}^2&\displaystyle =\frac{3}{2}\frac{R}{N_A}T\,\,\,\,\,\left(∵n=\frac{N}{N_A}\right) \end{array}

 

n はモル数」で、

N は原子数・分子数」です。

 

 

N_A がアボガドロ数」で、

これは「 6.02214076×10^{23} 個」の『原子・分子の数』

つまり 1\mathrm{mol} を表しています。

 

 

 

正直、なにがどうなってるのかよく分からんと思いますが、

これはしょうがないです。(特に 3R

けっこう色々な知識が必要になるので。

 

 

具体的には、

主に「熱力学」の成果を多用していて、

「理想気体の状態方程式」がメインに。

 

PV=nRT

 

その過程で「統計」的な考え方も使っていて、

 

\begin{array}{llll} \displaystyle P&\displaystyle =\frac{Nf_{\mathrm{atom}}}{S} \end{array}

 

更にそのために幾何学の知識もまた使っています。

この場合、長さ L の立方体の体積が V です。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \overline{v}^2&=v_x^2+v_y^2+v_z^2 \\ \\ V&=L^3 \\ \\ S&=L^2\end{array}

 

そして「圧力 P 」は『平面に対して』のものなので、

原子・分子1個の「運動」を考えてみると、

 

|\,\,←\,\,・

 

まず1つの壁にぶつかるとするなら、

原子・分子1個の衝突は、

 

mv_x

 

『完全弾性衝突であると仮定』し、

『原子・分子同士の衝突も考えない』なら、

「立方体の1つの面」に対して、こうなります。

 

mv_x-m(-v_x)

 

この時、反作用を考慮すると、

『完全弾性衝突と仮定されてる』ことから、

衝突後、速度は変わらず、方向が逆になるので、

 

2mv_x

 

壁はこの運動量を受けた、ということに。

 

 

で、衝突した原子は反対側にも衝突して、

また同じ壁に衝突しに向かうわけですから、

「また衝突するまで」に、

 

\displaystyle \frac{2L}{v_x}

 

これだけの時間が必要だということも分かります。

 

\displaystyle \frac{v_xt}{2L}

 

このことから、

「1秒間で1つの面にぶつかる回数」はこう。

 

 

つまり、『1つの壁が受ける力』は、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle 2mv_x \frac{v_xt}{2L} \end{array}

 

t 秒間でこれくらい。

そして更に『その方向の壁が受ける力の平均 \overline{f} 』を考えると、

 

\displaystyle\overline{f}t= \frac{mv_x^2}{L}t

 

こうなりますから、

整理して、『1方向の力の平均』が導かれます。

 

\displaystyle \overline{f}= \frac{mv_x^2}{L}

 

んで、これは「他の方向」でも言えることですから、

 

\begin{array}{rlc} \overline{f} &\displaystyle =\frac{mv_x^2}{L} \\ \\ \overline{f} &\displaystyle =\frac{mv_y^2}{L} \\ \\ \overline{f} &\displaystyle =\frac{mv_z^2}{L} \end{array}

 

立方体の中にある全ての原子で、

全方向、という範囲で考えてみると、

 

\begin{array}{llll} \displaystyle \overline{v}^2&=v_x^2+v_y^2+v_z^2 \\ \\ \displaystyle \frac{m \overline{v}^2 }{L} &\displaystyle = \frac{mv_x^2 }{L} +\frac{mv_y^2}{L} +\frac{mv_z^2}{L} \\ \\ \\ &= \overline{f} + \overline{f} + \overline{f} \end{array}

 

「気圧」は『上下左右に明らかな偏りは無い』ので、

全ての軸で圧力の平均は同じとみなせます。

 

3\overline{f} = \displaystyle \frac{m \overline{v}^2 }{L}

 

こうして

「1つの面が受ける」

「1つの原子による力」が導かれて、

 

\overline{f} = \displaystyle \frac{1}{3}\frac{m \overline{v}^2 }{L}

 

粒子の数が N 個だとすれば

 

\begin{array}{rlc} F& = N\overline{f} \\ \\ &= \displaystyle N\frac{1}{3}\frac{m \overline{v}^2 }{L} \end{array}

 

「1つの面が受ける力」はこうですから、

 

 

後は「圧力 P 」の定義を確認して、

「面積当たりの力」を求めると、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle P&\displaystyle =\frac{F}{L^2} \\ \\ & \displaystyle = N\frac{1}{3}\frac{m \overline{v}^2 }{L}\frac{1}{L^2} \\ \\ \\ & \displaystyle = N\frac{m \overline{v}^2 }{3L^3} \\ \\ & \displaystyle = N\frac{m \overline{v}^2 }{3V} \end{array}

 

結果このような、

『圧力と力の関係』が導かれます。

 

 

後は『アボガドロ定数』と

『理想気体の状態方程式』から、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle n&\displaystyle =\frac{N}{N_A} \\ \\ PV&\displaystyle =nRT \\ \\ \\ P& \displaystyle = N\frac{m \overline{v}^2 }{3V} \\ \\ PV&\displaystyle = N\frac{m \overline{v}^2 }{3V}V \\ \\ &\displaystyle = nRT \end{array}

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle N\frac{m \overline{v}^2 }{3V}V&\displaystyle = nRT \\ \\ \displaystyle N\frac{m \overline{v}^2 }{3}&\displaystyle = \frac{N}{N_A}RT \\ \\ \\ \displaystyle m \overline{v}^2 &\displaystyle = 3\frac{R}{N_A}T \\ \\ \displaystyle \frac{1}{2} m \overline{v}^2 &\displaystyle = \frac{3}{2} \frac{R}{N_A}T \end{array}

 

簡単に式変形をすれば、この通り。

『運動エネルギー』と『熱』の関係を示す式が導かれて、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{R}{N_A} &=k \\ \\ \displaystyle \frac{1}{2} m \overline{v}^2 &\displaystyle = \frac{3}{2} kT \end{array}

 

その『運動と温度の関係』を表す指標として、

「ボルツマン係数」が定義できるわけですね。

 

 

 

 

 


エネルギーに関する単位

 

|| ものを動かす力

代表的なものは「ニュートン \mathrm{N} 」と「ジュール \mathrm{J} 」の 2 つで、

主役は「ジュール \mathrm{J}=\mathrm{m}・\mathrm{kg}・\mathrm{m}/\mathrm{s}^2 」ですね。

 

 

なんで主役かって話ですが、

これは「エネルギー」という名前のほかに、

『仕事』『熱量』『電気量』って名前もあるんですよ。

 

 

そう、つまりこれ、

物理学の「全ての分野」で出てくるんです。

まあ、なんせ『エネルギー』ですからね。さもありなん。

 

 

というわけで、

まずは「ニュートン \mathrm{N} 」から見ていって、

次に「ジュール \mathrm{J} 」を見ていきます。

 

 

 

 

 

ニュートン(\mathrm{N}

 

これは簡単には『速度を与える力』のことです。

こう覚える方が実感しやすいと思います。

 

 

厳密には「 1\mathrm{N} の定義」として、

1\mathrm{kg} の物体に、 1\mathrm{m}/\mathrm{s}^2 の加速度を生じさせる力』

と定義されてるわけですが、これ、ちょっと実感しにくいですよね?

 

 

ちなみに単位は「 \mathrm{N}=\mathrm{kg}・\mathrm{m}/\mathrm{s}^2 」です。

 

 

というわけで、

さっそくこれを実感しやすい形にしていくわけですが、

そのために、まずは「時間(秒)」を使ってみます。

 

 

なんでこうするかっていう話については、

0 秒」の時点を考えてみると、なんとなく分かると思います。

 

 

というのも、この「 1\mathrm{N} 」という力、

0 秒の地点では、なにもしていないように見える』んですよ。

 

 

そう、この「ニュートン」という力は、

1 つの時点だけ見てもよく分からん』もので、

 

 

実感するには、

最低でも「 3 つの時点」を見る必要があるんです。

 

 

具体的には「 0 秒の時点」

1 秒の時点」

「その中間の時点」

 

 

最低でもこの 3 箇所を見ないと、これは実感しにくいんです。

 

 

というわけでさっそく見ていくと、

まず「 1\mathrm{kg} の静止している物体」があって、

それに「右方向へ 1\mathrm{N} の力が加えられた」としましょうか。

 

 

で、これを 3 つの時点で見ていくわけですが、

まず「 0 秒の時点」だと、

実は何も変化は見られません。

 

 

少なくとも「見た目」の上では、という注釈はつきますが、

本当に、この時点じゃ何も変化がありません。

 

 

しかし「 1\mathrm{N} の力を加え続けて 1 秒の時点」では、

「物体の右方向への速度が 1\mathrm{m}/\mathrm{s} 」になっています。

 

 

ついでに「 1\mathrm{N} の力を加え続けて 0.5 秒の時点」では、

「物体の右方向への速度は 0.5\mathrm{m}/\mathrm{s} 」です。

 

 

 

これでなんとなく分かったと思うんですけど、

こいつは1つの時点で見てもよく分かりません。

 

 

確認しておくと、厳密な定義だと、

これは『加速度を生じさせる力』なわけですが、

 

 

いまいちピンときません。

このままでは実感しにくいです。

 

 

 

しかしどうでしょう。

 

\begin{array}{llll} &\displaystyle 1\mathrm{N}& \\ \\ 1\mathrm{kg},0\mathrm{m/s} &→& 1\mathrm{kg},0\mathrm{m/s} &(t=0) \\ \\ 1\mathrm{kg},0\mathrm{m/s} &→& 1\mathrm{kg},0.5\mathrm{m/s} &(t=0.5) \\ \\ 1\mathrm{kg},0\mathrm{m/s} &→& 1\mathrm{kg},1\mathrm{m/s} &(t=1) \end{array}

 

↑のような感じに変換すると、

 

 

『速度を増加させている力』として

見た目で分かる形になってるので、

ちょっとは実感しやすくありませんか?

 

 

 

とまあこんな感じで、厳密な定義と一緒に、

「実感しやすい」よう、

1\mathrm{kg} の物体に』対して、

 

 

『速度を与える力』だと覚えておくと、

理解しやすいと思います。

 

 

こう覚えておけば、

見た目という分かりやすいもので簡単に説明できますし。

 

 

 

 

 

ジュール(\mathrm{J}

 

これは『エネルギーの単位』ですね。

物理学の中心的な単位になります。

 

 

基本的には「 1\mathrm{J}=1\mathrm{N}・1\mathrm{m} 」で覚えて、

『電力量』の「 1\mathrm{J}=1\mathrm{C}・1\mathrm{V} 」も覚えておけば、

他の話はだいたい網羅できます。

 

 

というのも、これは『移動に必要な力』という点で、

非常に理解しやすいエネルギーの定義だからです。

 

 

 

どういうことかというと、

1 つのものを、移動させる力』っていうのは、

例えば「 1\mathrm{J}=1\mathrm{N}・1\mathrm{m} 」なら↓みたいな意味になるので。

 

 

ある 1\mathrm{kg} の物体があって、

それに 1\mathrm{m}/\mathrm{s}^2 の加速度を与える力を、加え続ける。

その状態で 1\mathrm{m} 進める。

(全部掛けて 1 になれば 1\mathrm{J}

 

これを『実現するために必要な力』か、

もしくは『実現されたときに消費された力』が、

1\mathrm{J} のエネルギー」になります。

 

 

 

ざっくりとはこんな感じですね。

『熱』や『電力』についての詳しい話は続きでしていきます。

 

 

 

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