測度論 Measure Theory


|| 測るってそもそもなに?な論

メイントピックは『面積』です。

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この面積と似たようなもの、というか本質的に同じものを、

まとめて「測度」と言って表してます。





目次


測度「長さとか面積とか体積とかのこと」


完全加法族「測度を矛盾なく導ける枠組み」








これの発端は『バナッハ・タルスキーのパラドックス』になります。

今では「定理」扱いされてますけど、昔は矛盾扱いされてました。




これを要約するなら、

『測度』を考えると、数学がぶっ壊れる、という感じ。



具体的には「有理数加算同値関係」を用いた『同値類』の存在です。

意訳すると、『わけわかんないくらい細かくする』って感じ。

長くなるので、詳しくは別の記事で扱います。




これを解消し、研究する分野が『測度論』になります。

要は『測度論』のおかげできちんと「面積」とかが使えるわけですね。






測度 Measure


|| 測れる量を表す数値

『個数』『長さ』『面積』『体積』は全部『測度の一種』です。



厳密に言うと「↑の値を返す関数」のことになります。

ほとんど Measure から『 μ(X) 』みたいに書かれますね。

X は集合)




これの厳密な定義は、当然ですけど『集合論』的です。

更に言うなら「帰納的」でもあります。




基本は 2 つです。



・初期値について「空集合なら測度は 0


μ(∅)=0




・測度が満たす性質「重なってないなら足せる」


A_1,A_2,A_3,... が、全部互いに共通部分を持たないとき、


\displaystyle μ\left(\bigcup_{i} A_i\right)=\sum_{i} μ(A_i)






ただこれ、このままだと矛盾が出ます。

↑のやつ(バナッハ・タルスキーのパラドックス)です。



この矛盾を回避するには↓を定める必要があります。

↑の『 A_i 』が↓だって宣言すれば解決。







完全加法族 Completely Additive


|| ちゃんと集合の演算ができる集合のこと

要は『測度』を定義できる集合のことです。単に「加法族」とも。

これは「測度論の核(成果)」と言って良いものになります。




「微分積分学」では『ルベーグ積分』の基礎付けの役割を果たし、

「確率論」では『確率』を求められるベースを提供します。




これの根拠となる部分は単純です。

「論理回路」を思い出してください。



これをすべて実現できれば、全てのことを実現できますよね。

ということは、それを最低限持ってれば良いわけです。




具体的には、『補集合(否定)』と『和集合(または)』。

そして『積集合(かつ)』があれば、全て表現可能になります。



つまり、最低限これだけの演算を持ってれば、

それは「あらゆる操作を実現できる」ってことです。






要は、詳細は省きますが、

↓の性質を満たす「集合族」のことを指します。



大雑把にまとめるなら、↓の条件は、

『集合の演算について閉じてる』ってことを保証してます。




というわけで、ざっと定義に必要なものを用意。

まずは当然ベースとなる『集合 A 』を。

そして『集合族』を作るために「冪集合 2^A 」を。




結論から行くと、この「冪集合の部分集合 \varSigma⊆2^A 」が、

↓の 3 つの条件を満たすと『完全加法族』になります。




・まず必要なものがある宣言「空じゃない」


A の部分集合」を『 A_{pt}⊆A 』とすると、


∀\varSigma\,∃A_{pt}\,[\,A_{pt}∈\varSigma\,]\,\,\,⇒\,\,\,\varSigma≠∅




・次に補集合が作れる宣言「補集合も持ってる」


A_{pt}^c:=A∖A_{pt} なら、

A_{pt}^c∈\varSigma




・最後に和集合が作れる宣言「あらゆる和集合を持ってる」


部分集合 A_1,A_2,A_3,... を持つなら、

その和集合 A_1∪A_2∪A_3∪...U_A とすると、


U_A∈\varSigma



ただしこの和集合の操作の限界は『可算無限』回までとします。




また、共通部分は「和集合の演算について閉じてる」から導けます。



どういうことかというと、単純な話、

「補集合がある」ので、「ド・モルガンの法則」から、

『和集合の補集合』は「共通部分」になるので、存在します。




もっと感覚的な話をするなら、

そもそも『和集合がある』ので「それを作るもの」もあります。



つまり「 A_1,A_2 」があって、

その和集合「 A_1∪A_2 」があるわけです。



A_1,A_2 の積集合」はこの内側にあるので、

『共通部分 A_1∩A_2 』は↑の内側に、確実に存在してます。






この完全加法族っていうのは、

具体的には↓みたいな集合族のことです。


\displaystyle \varSigma=\{∅,\{a\},\{b\},\{a,b\}\}






まとめると、


・空じゃない ∃A_{pt}\,[\,A_{pt}∈\varSigma\,]

・補集合がある ∀A_{pt}∈\varSigma\,[\,A_{pt}^c∈\varSigma\,]

・和集合がある ∀A_1,A_2∈\varSigma\,[\,A_1∪A_2∈\varSigma\,]




そして「和集合の存在」と「補集合の存在」から、

「ド・モルガンの法則」で『共通部分の存在(かつ)』が導ける。



「ならば」に当たるものは定義からすぐに導けます。

A^c∪B∈\varSigma 』なので。



これで、全ての演算が可能な集合ができるわけです。

つまり、この『操作ができない集合』は排除されます。