定義 Definition


|| 意味と解釈

感覚的には、これはルールのようなものになります。

中身が全部わかっている箱みたいな。

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これの形式的な表現方法は主に2種類あります。

というか『2種類しか』ありません。

 

 

 

 

 

「外延」的記法


一つがこれ。

中身を全部「一個ずつはっきりさせる表し方」がこれで、

 

 

 

「内包」的記法


もう一つがこれ。

条件だけ書いて「それに当てはまるものがそれ」みたいな。

 

 

 

 

 

こういう『2つの定義のやり方』があって、

ありとあらゆるものはこの2つの構造で表現されます。

 

 

 

整理しておくと、

「外延」は『中身を全部書き出す』感じで、

「内包」は『中身を条件で表現する』感じです。

 

 

 

まあこれだけ言われてもアレだと思うんですが、

これをすると『中身にあるかどうか』が

『確実に分かるようになる』ので、

 

 

結果、うまいこと厳密に定義することができちゃいます。

というか、こうしないとうまくいきません。

不思議なことに。

 

 

 

で、これを使って『曖昧さが無い状態』を作ると、

それには「一意性がある」なんて言い方をされることがあって、

 

 

こういう時、それは厳密に定義されています。

 

 

耳慣れない言葉かもしれませんが、

「厳密」に扱いたい時とかにわりと見るので、

なんとなく覚えておきましょう。

 

 

ちなみに「一意性」の感覚は、

「それ以外にない」みたいな感じです。

 

 

 

 

 

具体例

 

ゲーム系全般を思い浮かべれば、

まあ大体「定義」の感覚は掴めると思います。

 

 

というのも、

いわゆる「決まり」「ルール」があって、

初めて「勝敗が決まる」じゃないですか。

 

 

こういう「はっきりさせている」感じが、

実は『定義』の感覚なんですよ。

 

 

 

確認しておくと、将棋とか囲碁とかも

「ルールが決まってるから」こそ、

箱の中身は有限で「一意」に定まるわけで。

 

 

結果として、

「可能なこと」と「不可能なこと」は明確になって、

「不正行為」なんかもまた明確になりますよね?

 

 

「戦略」「戦術」「定石」も、

全ては『ゲームのルール』を起点に決定されてます。

 

 

はい。これが「定義」の感覚です。






どんな感じで使われるか

 

だいたい『なにかしたいことがある』時の

「ルール決め」で使われますね。

 

 

日常的には「言語の理解」で使われます。

 

 

例えば「これはこう」「それはそう」

こういうのの『集まり』としてなにかを構成する感じで。

 

 

 

具体的には、例えば「会社」とか

それこそ「ゲーム」とかがそうですね。

 

 

『外延』的な感覚だと、それこそ

「ゲームの名前」から『ゲームのルールが分かる』ように、

 

 

「ゲームのルール」が分かれば、

その「ゲームの名前」を特定できるじゃないですか。

 

 

まあ要はそういう感じで、

あらゆるものは『中身の全て』が分かれば、

それをそれと特定できちゃうんですよ。

 

 

 

それこそ「りんご」だと、

「甘い」「酸っぱい」「だいたい丸い」

「シャキシャキ」「木に生る」「パイとかで使う」とか

 

 

こういうのが分かれば、

それを「りんご」だと特定できます。

 

 

 

 

 

数学での位置づけ

 

これは数学では、

主に「帰納的定義」「再帰的定義」とかで使われます。

(英訳はどちらも \mathrm{Recursive \,Definition} なので意味は同じ)

 

 

 

最初のなんかがあって、

「例えば 1 」(基準)


次のなんかがあって、

「例えば 2 」(基準の周り)


n 番目が分かる、みたいな感じで

「例えば上の例だと n 番目は n になりそう」

 

 

だから、以下のように定義しよう。

 

 

最初のもの(原子的なもの)

「上の例なら 1 」(基準)


n 番目のもの

「上の例なら n 」(基準の周り)


n+1 番目のもの

「上の例なら n+1 」(後者の定義)




このようなやり方が、

帰納的定義もしくは再帰的定義と呼ばれるものになります。

(要は「最小のもの」と「満たす性質」みたいな感じ)




これ、全体を整理する時とかにかなり使えます。

めちゃくちゃ実用的な数学の成果の一つです。

 

 

 

 

 

公理との違い


定義が「人の作った決まり」なら、

公理は「決まりにしないといけないなにか」です。

 

 

まあつまり、これは『人が決めたかどうか』

という点で明確に異なります。

 

 

というのも、

定義は正しいですが、人が勝手に決めたものです。

『そういうことにしている』ので、正しくて当然。

 

 

これに対して、

公理は「正しくないといけない」もので、

人間とは無関係に正しいとしておくしかありません。

 

 

 

もっと噛み砕いて言うなら、

公理は「正しいとしか言いようがない」って感じで、

定義は「人がそういうことにしたルール」という感じですね。

 

 

 

公理は「人間の直観が判断する世界の決まり」

定義は「人間が作った決まり」

みたいな感じに言うこともできるでしょう。

 

 

 

 

 

定義可能性について


「公理」との違いを考えるなら、

これを意識すると分かりやすいと思います。

 

 

というのも、

定義は、うまく定義できるもの( \mathrm{well}\mathrm{defined} )と、

うまく定義できないもの( \mathrm{ill}\mathrm{defined} )の二つがあって、

 

 

これらは『その時点では分からない』ので、

『後で』判断され、そのように判定されます。

 

 

 

まあつまり、うまく定義できたかどうかは結果論で、

定義した段階では「まだ正しいかどうか分からない」んです。

 

 

 

まあ、見ればだいたい直観的にわかるんですが、

ルールが追加されて複雑になっていくと、

実はそうでもなくなったりするので、

 

 

まあ結局のところ、この時点では分かりません。

うまく定義できたかどうかは、後で分かります。

 

 

 

 

 

\mathrm{ill}\mathrm{defined}

 

うまく定義できていない

というのがどういうことか説明すると、

 

 

まあ当然の話ですけど、

『矛盾が存在する』場合、

そのルール(定義)はそのように判定されます。

 

 

「明らかにおかしい」ものだとか

「正しいとするとおかしなことになる」ものだとか

「真偽を判定する境界が曖昧」なものだとか

 

 

こういう明らかに変で曖昧な感じのものがあると、

『ルール間での矛盾が生じる』ことがあったりして、

 

 

そういう時、そのルールに対して、

「うまく定義できていない」と言う感じですね。

 

 

 

 

 

\mathrm{well}\mathrm{defined}

 

逆に「矛盾が出てこない」とか、

「なんの問題も見つからない」とか、

「真偽判定の境界がはっきりとしている」とか。

 

 

こういう感じに定義できると、

うまく定義できたと言い表します。

 

 

まあ当然な感じですね。

ルールを作るなら抜け穴は綺麗に消すべきです。

 

 

勝敗の基準が曖昧なゲームとか

なにがしたいんだって感じになりますし。

 

 

 

 

 

後で分かったよくない定義

 

詳しくはやりませんが、

後で定義がまずいと分かったものを紹介しておきます。

 

 

例えば「長さ」「面積」なんですけど、

実は意外なことに、「実数直線上」では、

これはうまく定義できなかったりします。

 

 

え? ってなると思うんですが、

実は「直感的な定義」をすると、

 

 

『1が2になる操作』が見つかっちゃうんですよ。

そのままだと。

 

 

 

詳しくは「測度論」の

「バナッハ=タルスキーの定理」

ってやつを調べると分かるんですけど、

 

 

まあ、ここでは詳しく話しません。

 

 

ちなみに『測度』っていうのは、

「長さ」「面積」「体積」の総称です。

 

 

 

 

 

まとめ


以上を踏まえて、

形式風味に「定義」の意味を記述します。

 

 

堅い言い方ですが、

定義ってのは、要は↓みたいなものです。

 

ある概念の「内包」が明確で    

その概念の「外延」が確定してるもの

 

要は「中身をはっきりさせるもの」みたいな、

まあそういう感じのものですね。

難しく考えなくて良いです。